何回も詰めてもらったのに、どうしても欠けてしまう前歯の小さな詰め物。
歯医者さんに詰めてもらったところで、すぐまたいつか、夜間の歯ぎしりでひっかかり、ポロリと落ちてしまうに違いない。
これまでのところ、いずれも2週間ともたずに取れてしまっているんだもの。
噛みしめの時に歯があるからぶつかって欠ける。
それなら最初から欠けてりゃ問題ないのである。
いっそ、このままでよくないか?
鏡の前でニコ。
よくよく歯を見れば、欠けてる。
けど、私の歯などしげしげ見る人もいないだろう……。
いずれにしたって、もうこの年だ。
仕事が忙しく、先送りにしていたのですが、
覚悟を決めて歯医者さんへ(2ヵ月前に検診と歯石取りで予約)。
歯が欠けた旨伝え、
見た目はどうでもいいのでこのままでいいです、
と言うと、
歯科衛生士さん、突如向き直り、
「見た目は大事ですっ!!!」
そうなんだけどねぇ。
どれどれと歯医者さんがやってくる。
噛み合わせもチェック。
「んー、やっぱり、どうしても、歯の噛み合わせで欠けた部分が当たってしまいますね……。問題は、この歯、神経のない歯なので、とても弱くて、なにかの拍子にパシンと割れてしまうかもしれない、ということなんです」
そしたらどうなる?
「そうなると、抜歯して、ブリッジとかインプラントとか本当に大掛かりな治療をすることになってしまいます。
ですから、今ほんの少し欠けている状態の歯を、もっと削ってしまって、
樹脂で歯をしっかり囲む処置をしておくことをおすすめします」
えええ!?
虫歯でもない歯を削るの、イヤだなぁ。
「あのう、その、パシンってなる可能性って、どのくらいなんですか?」
「そうですね……歯が割れたりしないで、最後までもつかもしれないし、もたないかもしれないし、というところですね……」
必ず割れる、というわけでもないのか。
しばし、シンキングターイム!
………30秒経過。
「じゃ、いいです、とりあえず、このままで……」
じゃ、治療お願いします、の言葉を待っていたのか、先生、
軽く「えっ」と言ってしばらく沈黙があり。
「……このままで様子を見ますか……?」
「ハイ。時々検診に来てチェックしてもらうようにします。で、いよいよとなったら、お願いします」
「わかりました。じゃ、角だけ丸めておきましょう」
定期的にチェックしてもらいますというアピールが効果的だったのか、
結局、欠けたままで様子を見ましょうコースに決定。
うーむ。
この決断がよかったのか悪かったのかはよくわかりません。
人様のことであれば、私とて、樹脂で囲んで補強なさい、とすすめる。
でも私は、なんとなーく、歯を樹脂でぐるりと囲んでしまったら、ますます違和感があって、歯ぎしりがひどくなるような気がしてしょうがなかった。
それに、だいいち、作ったばっかりのマウスピースも再度作り直さなきゃならない。
今現在の出費と想定されるリスクを、起こるどうかわからない将来のリスクと比較して、よーく考えたら、 とりあえず、保留、という答えが出たというわけ。
私の結論は、一般的にはおすすめできません。
でも、そのおかげでひとつ、いいことあった。
残った歯を守るために、イヤでたまらなかったマウスピース、
がんばって、なるべく使うようにし始めたんです。
えらいでしょ?
どーにも、石油噛んでるような感じで、いつまでたっても好きにはなれないですけど……。
マウスピースをつけると、 なんか自分が「イヤミ」になったみたいな気がし、 なんでこんなさるぐつわみたいなものはめて寝なあかんのやと自分が哀れにもなり。 ヤケクソ気味に、「シェーッ! 寝るざんす!!」と(心の中で)叫んで眠るのであります。 |
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