と帰って来るなり長男。
「新しいスパイクが足にあってないんじゃないの? 大丈夫?」
「足にはあってる。今日めっちゃ走ったからさー」
と言いながら靴下をぬいで、かかとを見せつける。
「ホラ!」
「うわ~!!」
かかとに、ぷっくりふくらんだ水泡。
でっかいソラマメよりまだひと回りほど大きい。
うーむ これは、マメというよりパンパンに膨らんだ靴擦れですな。
「すげー痛いんだけど。このままテーピングすれば大丈夫かなぁ」
「ちょっと待って、今ハサミ持ってくるから」
「えっ、つぶすの?」
「そうだよ」
「えー、つぶしちゃダメでしょ?」
「これはメスでとらなきゃダメ! 今母ちゃんが手術をしてあげよう」
「マジー!?」
水泡はメスで切り取る。しかるのちに湿潤治療をほどこすのが、今イチバンの先端治療なのだ。
『傷はぜったい消毒するな』の夏井睦先生の本やブログを愛読している私。
やけどや床ずれなど、皮膚に傷ができたらどうしたら一番いいかは、なんとなくだけど心得ています。
消毒はせずに、傷を乾かさないよう、ラップやプラスモイストなどの湿潤治療用のパットで覆う。
水泡などはメスで取り除いておくこと。
「メスなんかあるの?」
「まあ似たようなもので」
不安そうな顔をしている長男をよそに、
身だしなみ引き出しから眉毛カット用のハサミを取り出す私。
一応洗って、ガスの火で焼いて消毒のつもり。
では 手術はじめ!
ソラマメの一部にハサミを入れて、少しずつ切除し、たまった液体を出す。
皮は存外に厚くて、ほんとにこれ切っちゃっていいのかなと一抹の不安はあったが、残しておいても治りが遅れるだけだととりあえず切除。
メスじゃないから、キワまでは取りきれなかったが、それはそれでいいことにし、
湿潤治療用バンドエイド、キズパワーパッドを貼りつける。
クツにあたって痛いようだったので、その上から絆創膏とテーピングでガード。
手術終了。
「あ、これなら走れそう……」
おびえていたけど、不気味な水泡がなくなって、ほっとしたような顔をしていた長男でした。
翌朝、 あまりにも浸出液が多いので、キズパワーパッド等一式を貼り換えて出かけました。
帰宅後様子を聞いたところ、部活の走りにはまったく影響しなかった様子。
見ると、まだ湿ってはいたけど、赤みも消えていました。
翌日はすっかり患部の痛みはなくなって。
3日後には、もうテープを貼らなくていいほどの回復ぶり!
いや~、人の皮膚って、すごい再生能力を持っているんですね。
大げさだけど、人体の神秘を感じました。
思い切って切り取ってよかった。
以来、 眉毛カット用のハサミ、すっかり皮膚治療用ハサミになっちゃって。
ささくれ取ったりウオノメ取ったり、なにかと活躍しております……。
湿潤治療用のパッドは、キズパワーパッド、ハイドロウェットなど 多数市販されています。 湿潤治療について詳しく知りたい場合は、 http://www.wound-treatment.jp/ の夏目先生のHP「新しい湿潤治療」をご参照ください。 最近は糖質制限のお話のほうで盛り上がっていますが……。 |
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