2015年3月3日火曜日

『野生の体を取り戻せ!』

前回のブログで、「今読んでいます」と紹介した、『GO WILD』(『野生の体を取り戻せ!』)。

同じ著者による、『脳を鍛えるには運動しかない!』は、運動と脳の働きの相関関係を科学的に解明した著書で、まさに衝撃でした。
シカゴの学校で有酸素運動を取り入れたところ、学力が飛躍的に向上したという実験例を紹介して、有酸素運動が脳にとってどれほど有効であるかを説き、大ベストセラーとなった本です。
その著者の新作ですから、迷わず購入。

読めば、内容は多岐にわたっています。
野生の糖質制限の食事、体を動かすこと、睡眠、心の問題、脳の問題。
あまりに多岐にわたりすぎ、挙句にこんなでっかい「ワイルドで行こう」なんてタイトルにしちまったのと思ったくらい。
研究者や説得力ある論文紹介も次から次に飛び出してきて、とても簡単にはこの本の内容は伝えられません。

・運動すること、すなわち動くことは人間の脳を活性化する。
・動く人間にとって、睡眠は極めて重要なこと。
・炭水化物(糖質)に偏った現代の食事が人間を蝕んでいる。
・集団としてうまくやっていくことが、個の生存と繁栄につながる。
・自然は人間にとって必要欠くべからざるもの。脳に働きかけ免疫力を上げたり脳を活性化させたりしている。
……などなど。

脳は、進化の過程から考えれば、動くこと、眠ること、仲間とつながること、自然に触れることで活性化する。
ところが現代のわれわれは、それらを取るに足らないことと考えて、結果、健康も幸せも失っている。
ひと言で言うと、現代人が失いつつある、人間にとって大切な人間の営みを思いだし、本来持っていた体と心の健康と幸せを取り戻そう、ということです。

著者はマラソンをやめてしまったマラソンランナーがうつになってしまうことに疑問を感じて、前作を書いたそうです。
そして、今回の本では、動かない生活が脳の健康を損なうことも断言しています。
動かない生活が、心不全、心筋梗塞、冠動脈不全、高血圧、脳卒中、胆石、乳がん、すい臓がんからその他もろもろの疾患、そしてさまざまな精神疾患、骨粗鬆症までを招く。
さらに、認知機能の低下をもたらす。つまり、「動かないとばかになる」。

人間は動く動物。動くことで脳の神経細胞(ニューロン)が活性化し、作られ、シナプスがつながっていくのだから、
動くのをやめたらそりゃ脳はダメになっていくに違いないです。
人間が座ったまま消しゴムを拾う、その動作ひとつとっても、ロボットでは再現できないくらい、複雑怪奇な動きなのだそうだから。

前作の、「脳を鍛えるには運動しかない」から広がって、
「脳を鍛えるには野生の動き、感覚を取り戻すしかない」に至っている本と言えます。

日本のおばちゃんの私には、この著者がすすめるように、米、パスタ、パンをあきらめたり、野山を駆けるトレイルランをしたりすることはチョットできません、、、
でも、動く動物らしく、せっせこ毎日立ち働くことはできるかな。
ついこの間まで、日本人がみんなやっていたように、日の出とともに起き、荷物をかついでせっせと歩き、草を刈り、ぞうきんがけし、はしごや急な階段を上り下りし、暗くなったら寝るという感じにね。
考えてみれば、
日本人って、ついこの間まで、けっこうワイルドな生活していたのですよねぇ。


この本2冊の日本語版に関わった編集さん自身がトレイルランナーになり、
郊外に移住し、低炭水化物ダイエットでスリムになり、
「野生への目覚めはとどまることを知らない」というから説得力あります。
低炭水化物ダイエットだけにはちっと懐疑的な私ですが、その編集さんが、
「走れば走るほどご飯とビールがおいしくて食べ過ぎてしまっていたのに
ついに走ることと痩せることを切り離すことができた」、と書いていたから、
今、「うーん」と悩んでいるところです……。

 



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