雑誌の記事を作っている最中らしい。
「あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだ。よく、梅雨の季節には、食中毒に注意、っていうけど、あれって、なんで?」
「なんでって……。まァ、気温が上がってきて、湿気も上がってきて、それで細菌が繁殖しやすい、ってことですよね?」
「だけど、それだったら、真夏だって同じでしょ? 梅雨の時期だからって、特別な理由あるの?」
うーん。だって、湿気も多いし、 季節の変わり目で人間も弱ってんですよ、なんて適当なことを言ってごまかして電話を切ったあと、データを調べてみると、たしかに、とりたてて6月の梅雨の時期に食中毒が多いわけではない……。
食中毒なんて1年じゅうある。
病原性大腸菌O-157だって、ピークは真夏です。ノロウイルスの集団食中毒は、年末の風物詩になっているし。
ただ、この梅雨の時期、胃腸の調子が狂いがちなのは確か。
もともと鉄の胃袋の私とて、このしつこい梅雨で、なんだかお腹の調子がいまひとつです。
夏のつもりで、冷たいものを食べすぎてしまってお腹を冷やすとか、水分のとりすぎで胃酸が薄まるとかいう話もよく聞きます。
私の故郷の山形では、6月にはさくらんぼの収穫期で、この時期になると、「さくらんぼの食べ過ぎに気を付けましょう」というお知らせがでるんだった。
みんなどこの家もさくらんぼを作っていて、日曜日となれば子はオヤツにそれを山のように食べ、月曜日、お腹を壊して休む子どもがゾロゾロ……。
ま、そんなふうに(いやさくらんぼの食いすぎはちがうだろう)、食中毒にアタル、というより、もともと季節の変わり目で、誰もかれもお腹をこわしやすい時期なんでしょうね。
東洋医学では、この梅雨の時期は湿気で、脾臓が弱りやすい、とよく言います。
湿は脾を冷やして機能を弱らせるので、身体から湿を除かなければならない、のだとか。
そういや確かに、10年前にこの梅雨の時期香港に行ったときは、庶民の食堂ではだれも冷たいビールなんか飲まず、熱い烏龍茶をガラスのコップに入れて飲んでました。
さすが、養生が身についてるんですよね。
この「脾臓」。
東洋医学って、解剖学での脾臓と違う意味でつかわれるのでわかりにくいんですが、消化吸収する機能をつかさどる部分、という意味です。解剖学的には膵臓と脾臓を合わせた部分を指すようです。
膵臓は消化酵素を分泌する臓器。インシュリンなどのホルモンを分泌して糖をエネルギーに変える働きもしていて、代謝にかかわる大事な臓器。
脾臓のほうは、血液がたまっているフクロで、感染症にかかった場合に抗体をつくる働きをするけれど、まかりまちがって摘出することになってもまぁ死にはしないらしい。
杉田玄白が解剖したときに、東洋医学で「脾臓」とされている「膵臓」を見て大きいのに驚き、こんな立派な臓器に「卑」の文字を使うのは如何なものか、と言ったとかなんとかという話が残されていますが、それが脾臓じゃなくて「膵臓」だったんだとか。
臓器のことがわかりにくいのでよけいな説明しちゃいましたが、まあとにかく、 このご立派な膵臓が、この時期、梅雨の時期には湿気で元気がない、ちゅうことらしい、東洋医学によれば。
東洋医学は難しいし、なんか怪しいし、実感としてどうにも理解しにくいものですけど、
でもたしかに、そういわれてみればこの時期は、お腹の中で消化酵素がしっかり出てないような、糖も分解されないまま淀んでいるような感じがします。
お腹がゆるめだったり、いつもは大丈夫な食べ物が胃にもたれたり、げっぷが出たりしやすい。
私の場合そういえば、この時期いつも大丈夫な牛乳がどうもNG。乳糖が分解できないのかも、と思い当たる。
そう、だいたいこの時期、アイスカフェオレの飲みすぎでお腹をやられるのだった……!
蒸し暑くなって、冷蔵庫に作り置きのアイスコーヒー。ドリップコーヒー入れるより、冷蔵庫から出して飲むほうが手軽なので、つい、飲みすぎてしまうんでしょうね。
で、お腹の調子を崩す……。
お腹が張ってるような、もたれたような感じは、まちがいなく、冷たいコーヒーと牛乳のせいです。
(これを書いていて気づいて、あわてて、コーヒーはやめていつものあたたかい十六茶にしました)
梅雨の時期、なるべく糖分脂肪分控え、膵臓を酷使させない食生活にしたほうがよさそうです。
梅雨長引いてますが、どなたさまもお気を付けください。
「膵臓」といえば、この本おすすめ。 私の周囲で話題になってます。 あ~、若いときに読みたかったなぁ。 |
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